ブラジルにおける新型コロナの現状 その2
前回はブラジル全土の感染状況や傾向について書きましたが、今回は私の住むサンパウロ州について書きます。
一口にサンパウロ州と言っても、実は日本に匹敵するほどの大きさですので、当然、州内の感染状況にもかなりのバラツキがあります。
サンパウロ州政府は、Plano SP(サンパウロ・プラン)という新型コロナ感染防止プログラムを実施しており、それに従って経済活動の規制や緩和などが決定されます。日本でもニュースになったように、ブラジル連邦政府、というかボルソナロ大統領の方針としばしばぶつかっていますが、具体的な対策は州政府の権限です。
判断基準は、新型コロナ向けの病床、特にICUの占有率と新規のコロナ患者数と増減の傾向により、わりと機械的に決められています。このように客観的な指標に従って決めるのは、当局の判断が妥当であるとかないとかの無駄な論争が避けられるという意味でも良いと思います。
毎週金曜日に下図のような地域別制限マップが発表され、各自治体は従う義務があります。
サンパウロ州内の感染傾向(7月3日付) |
7月3日付の更新では、大都市サンパウロ(黄色の部分)では感染者数、死亡者数共に減ってきていますが、それ以外の特に内陸部(赤色の部分)では逆に感染者数、死亡者数共に大幅に増えています。
この色分けには意味があって、経済活動の制限が色によって表現されているます。赤色は生活に最低限必要な業種(食品スーパーやガソリンスタンドなど)のみしか営業できず、オレンジ、黄色と順に制限が緩和され、緑、青色では殆どの業種で通常営業が可能になります。違反すると罰金が課されることもあります。
ブラジルではヨーロッパ諸国が実施したロックダウンのような厳しい措置は取られていません。外出は比較的自由にできますが、マスク着用は義務となり、違反者には罰金(約2000円~1万円。自治体によって様々)が課されます。風邪を引いてもマスクをする習慣がなかったブラジル人が、皆マスクをしているのには驚かされます。外出の自粛やソーシャルディスタンスも推奨されています。
一方、貧困層や若者の一部には、コロナを完全無視して、週末にダンスパーティーを開き当局に摘発される例があとを絶ちません。まぁ、ブラジル人ですからね。
サンパウロ州内の感染傾向(7月10日付) |
7月10日付の更新では、大都市サンパウロに加え海岸部では感染者数、死亡者数共に減ってきて、病室にも余裕がでてきています。前回のプランで赤色だった内陸部の大部分で増加が抑えられ横ばいに移行しています。内陸部の一部(赤色の部分)では依然として感染者数、死亡者数共に増えており、病室(特にICU)の逼迫した状況が続いています。
ただし、オレンジ色の地域でも病室(特にICU)の逼迫したいくつかの都市では、赤色と同様の厳しい経済活動制限を継続しています。
全体の傾向としては、感染者の増加に歯止めがかかりつつあり、経済活動も緩和してきています。このままの傾向が続き減少に転じてくれると良いのですが、緩和すると感染者数が再び増えるといったことを繰り返しているのでなかなか楽観的な見通しは立て難いですね。