「ブラジル・ミナスジェライス州産プロポリスの植物起源」 エステル・バストス博士

1995年4月~2004年4月の10年間に、ミナスジエライス州内各地の養蜂場に設置した実験用蜂巣箱から、毎月200個のサンプルを集めて分析。プロポリスの植物起源同定方法では、まず養蜂場から半径3km以内で開花する植物を毎月定期的に採取し、それらを元に顕微鏡用スライドを作成してその花粉と分泌組織の構造を顕微鏡で定性的定量的に分析した。

又一方で、プ口ポリス沈殿中から得られる植物断片とその分泌組織とを、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で比較観察を行なった。その結果、ミナスジエライス州プロポリスには、その花粉スペクトル範囲の中に、ユーカリ類やアレクリン(学術名:Bacchar is dracuncul ifolia)が最大15%程度確認され、この値は他地域よりも高い値である。次にこれらの植物の解剖学的分析を行なった。

ミナスジェライス州産のブロポリス中には腺毛や非分泌毛、葉片などがみられるが、プロポリスの中にあった植物断片と、ユーカリ類・アレクリンの分泌組織構造との比較分析を行なった結果、プロポりス中の植物断片はアレクリンの組繊であると判明し、プ口ポリスはアレクリンが起源であると確認された。

アレクリン(学術名:Baccharis dracunculifolia)は現地語で”小さな箒”という意味で、実際にアレクリンの枝をまとめて箒として使用している。Baccharis(バカリス)属には500種類以上あるが、その殆どがブラジルの在来種である。アレクリンは雌雄異体の植物で雄花と雌花は形態的に異なっている。

多くの雌雄具体性植物では.利用できる資源の配分の遣いから、フラボノイドやフェノール化合物など炭素分子主体の防御システムに違いがでる。雌花は生殖に多くを費やす傾向があり、吸収した栄養成分の大部分を生殖器官の成熟に費やす。雌花では、フラボノイド、タンニンそのほかフエノール類等の炭素系代謝二次副産物をより多く生産し、そのため蜂にとっても雌花の方がよリ多く訪れる対象となっている。

アレクりンは生命力の強い植物で、養分に乏しい荒廃した土地にも良く成育し、ブラジルでは裸地の植物遷移で最初にみられるパイオニア的植物でもある。比較的早生な植物で.発芽後ほぼ 1年間で樹高1m程に成長し、3年後には樹高約3mほどの成木となり寿命を終える。自然の風で種を撤き散らすので常時自生し、アレクリンの樹林は絶えることば無い。

蜜蜂の活発に動き回る収集活動の時間帯は、日中で暖かい午前10時~午後2時頃迄で、花粉を集めるためには雄花をよく訪れるが、樹脂を採取するためには雌花を訪れることになる。蜜蜂は新芽を切断して後ろ足のバスケットにつけて運ぶが、このアレクリンの新芽に含まれる葉緑素のためにプロポリスが緑色となる。ミナスジェライス州産の最高級のアレクリン系プロポリスが緑褐色を呈するのはこの理由による。

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