果物が動脈瘤リスクを下げる
大動脈瘤は、胸部大動脈あるいは腹部大動脈の径が拡大し、こぶ状になってきたものです。 大動脈瘤が怖いのは、破裂することがあるためです。破裂すると大量に出血するため、破裂した動脈を人工血管に取り替えないかぎり助かりません。破裂した場合の致死率は、かなり高いと考えられます。
そんな大動脈瘤のリスクを減らしてくれる食材が、なんと果物。
果物にはその他にも、心血管疾患、2型糖尿病、高血圧、がんのリスクを低減する可能性もあり、積極的に摂取してゆくことが健康につながります。
果物を多く食べると、腹部大動脈瘤リスクが低減する可能性があることが、スウェーデン、カロリンスカ環境医学研究所(ストックホルム)栄養疫学部門博士課程のOtto Stackelberg氏らの研究でわかり、研究論文が「Circulation」8月20日号に掲載された。
Stackelberg氏らは、スウェーデンの46~84歳の8万人超のデータを分析。13年間の追跡期間中、1,086例に腹部大動脈瘤が認められ、うち222例が破裂した。果物(ジュースは含まない)を1日2人前以上食べていた被験者では1日1人前未満しか食べていなかった被験者に比べて、同疾患のリスクが25%、破裂リスクが43%低かった。果物を1日2人前食べていた被験者ではまったく食べていなかった被験者に比べて同疾患のリスクが31%、破裂リスクが39%低かった。
Stackelberg氏らによれば、果物に含まれる高レベルの抗酸化物質によって炎症が減少し、腹部大動脈瘤を予防する可能性があるという。ただし、抗酸化物質を豊富に含む野菜を大量に食べても、腹部大動脈リスクは低減しなかった。
Stackelberg氏は、「野菜には果物に含まれる一部の抗酸化物質が含まれていない。しかし、野菜が健康にとって重要なことにかわりはない。果物や野菜の摂取が心血管疾患、2型糖尿病、高血圧、がんのリスクを低減する可能性を示した研究もある」という。今回の研究は、果物を多く食べると動脈瘤リスクが低減することを示したが、因果関係を立証するものではない。
(HealthDay News 8月19日)